立ち食い蕎麦と『スカイ•クロラ』
昔、何かの雑誌のインタビューで、映画監督の押井守が『富士そばの天ぷら蕎麦の、かき揚げを柔らかくして食べらのが好きだ』と言っていた。
当時、上京したてだった僕は圧倒的にコロッケ蕎麦派だったので、『ふにゃふにゃの天ぷら蕎麦?分かってないな』と思ったものだ。
そのせいか(?)押井監督の作品に触れる機会も少なく、世代的にはみんな大好きな攻殻機動隊も、ちゃんと観たことがない。
正確には、一度テレビで観たような気がするのだが、設定がややこしくてストーリーについて行けなかった記憶がある。
あれから歳月が経ち、ふにゃふにゃの天ぷら蕎麦が美味いと感じられるようになった。
この機会に、今後は押井監督の作品も観てみようと思う。
こないだ飛行機の中で観た『スカイ•クロラ』はよかった。抑制の効いた静かな物語で、はっきり言って何度も眠くなったが、見終わった後に後ろ髪をひかれるような余韻が残った。
子供の頃、夏休みに観た『銀河鉄道の夜』と同じような印象。観ている間は苦痛だが、後々まで忘れられないというのも、物語の一つの価値だと思う。
まあ、戦闘機がバンバン撃墜されるので、フライト中に観る映画ではないと思うけど。