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風とビスコッティ

第3回ゴールデンエレファント賞受賞「クイックドロウ」作者です。ある日ブログのタイトルを思いついたので、始めることにしました。できれば世の役に立つ内容を書き記していきたいと思っています。

なるほど、とザ•ワールド


今回は仕事術の話をする。いずれかの形でプレゼンテーションをする機会がある人は必読だ。TEDに出る人たちにも読んでほしいので、近々英訳して再掲しようと思っている(嘘)。

 

人はなぜすれ違うのか。任天堂DSも持っていないのに。

商売柄、付き合いのないクライアントからいきなり呼ばれ、コンペ形式で企画のプレゼンを求められることがある。

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そういう新規顧客の場合、担当者の性格も、会社の特質も良く分からない中で進めていくので、ちょっとしたすれ違いは仕方ないと思っている。

だが時として、ありえない情報伝達のミスが起きて、プレゼンの場で冷や汗をかくことが少なくない。


例えば息を切らせてプレゼンで喋り切った後に、こんな言葉をかけられるケース。

客A「御社に期待していた提案の範疇とズレている気がするのですが…」
=>ヒアリングしてきた担当が、主観を膨らませ過ぎて社内共有し、客の視点とズレていた。

 

客B「弊社は○○年の失敗以降、企業コミュニケーションに動物は使わない方針なのですが、なぜ今回は子犬を使った提案なのでしょうか?」
=>そんな昔のことは誰も知らなかったし、オリエン時点での説明も無かった。

 

客C「…できれば年内に立ち上げたいのですが、なぜこの提案ではロンチが来年末なのでしょう?」
=>オリエン資料の誤植を信じてスケジューリングしてた。夏休みがたっぷりあった。

 

上記はもちろん創作であり事実ではないが、だいたいそんな感じのすれ違いである。
後から考えれば何でそんなことになるの?みたいな凡ミスだと思うが、テンパったスケジュールでプランをまとめていると、結構な人数のメンバーが参加しているのに誰も指摘しないことがままある。

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まぁ、ちゃんと確認してない側も悪いが、コンペになるとクライアントに
色々と聞きにくくなるという傾向もあると思う。
本来は“より良い提案のための競争”のはずなのだが、なぜか“取引するかどうか御社を試験する”みたいな雰囲気になる。

就職の面接と同じで“変な質問をすると点を下げられる”みたいなノリがあることは否めない。

 

時は、動き出す。

で、問題はプレゼンの本番でそんな事態に遭遇し、ザ・ワールドに時を止められたがごとく場の空気が凍った場合にどうするか、だ。

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自分のヒアリングミスなら潔く謝った方がいいが、面倒くさいのはクライアントの勘違いも含んでいたりする場合だ(前述のBとかCとか)。

本音を言えば「聞いてないよ~」なのだが、関係値の浅いお客さんにそうも言えない。

 

だが黙って硬直していると、先方の担当者やその上長、こちらの同行メンバーにも不穏な空気が伝播し、どんどん空気は悪くなってくる。

カイジで言うところの“ざわ……ざわ……”である。

 

で、そんな状況を打開する言葉。僕がよく使うのが

「なるほど」

である。


この言葉は
「私は初めてその情報を聞きました」
という意味を含んでいる。

これは先ほどの「聞いてないよ~」とか「マジすか!?」と基本的には同じ性質の言葉で、こちらの責任を相手に押し付けて回避しようとする働きがある。

ただし1点違うのは「聞いてないよ~」だと、相手をただ突き放して非難することになるが、「なるほど」であれば、こちらは聞いていなかったというエクスキューズを折込みつつ、「知らなかったけど、いま承知したかんね」という印象を与えられる。

これをある程度落ち着いたトーンで、もっともらしい表情とともに繰り出すと、さらに一歩進んで「知らなかったけど、いま承知した。後、何とかしなきゃね」という、一緒に前向きに取り組む空気まで生むことができる。

 

つまり、
「あ、そうなんですね。こっちは知らなかったけど犬を使うのNGだったんすね。いやまいったなー知らなかったけど。まぁそれなら犬使っちゃだめですよねー、どうしましょうか○○さん(同行してるクリエイティブ)。まぁ、結局のところ犬使わないプラン出せますけどね僕ら」

みたいなニュアンスである。

 

そこから「まぁ、このプランは犬を使わなくても~」と話をつなぎ、企画の骨子、プランのアクティビティ概要についてはブレていないことを納得させ、子犬の画像を何か知らんけどものすごくイケててコンセプトを遵守した何かの写真に差し替えれば弊社のプランはまったく問題ないということを滔々と述べて、機会をいただけるのであれば三日以内にその箇所を差し替えたドキュメントを提出させていただく、という話を、白目をむいて泡噴いてるADをシカトしながらその場でブチ込んで相手を納得させる………ことができれていれば、僕は今頃TEDに出ているだろう。

 

まぁ、実際はそんなにうまくいくことは無いけど、食い下がるチャンスくらいは得られるんじゃないだろうか。少なくとも、こちらがケツを持つ意思はある、信じてくれというメッセージを相手に届けることはできるかも。

初めての取引の場合、選定している側だって不安なのだから、お互いが手を取りあって前に踏み出すには、どちらかの側にちょっとした勇気が必要だろう。 

 

ということで、まとめ。

例えプレゼンでなくても、自分が聞いてない何かをぶつけられて窮地に陥った時、いきり立って「聞いてないよ~」と嘆くのではなく、麒麟の川島くらいの低い声で「なるほど」と返すのはどうだろう。ささくれだった場の空気をヴァニラ・アイスのスタンドのように吸収し、自分の株を上げることができるかも知れない。

 

 タイトルを思いついて、出オチのように書き出した記事だったが、書き終わってみると意外と内容があったな、と、自画自賛。