風とビスコッティ

第3回ゴールデンエレファント賞受賞「クイックドロウ」作者です。ある日ブログのタイトルを思いついたので、始めることにしました。できれば世の役に立つ内容を書き記していきたいと思っています。

映画「進撃の巨人」と観劇の初心〜巨人はウルトラマンだった〜

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 監督によるSNSでの発言が炎上していたりして、色々と話題になっている映画「進撃の巨人」を観てきた。

一応、原作は途中まで読んでたしアニメも見たけど、映画版に対しては予備知識が無く、シートに着座した時点で前後編の前編だということを知った。

 

なのでもちろん、キャストや設定が色々と変更になっていることも知らなかった。

 

リヴァイ兵長の代わりに、東京ガスのCMでウナギイヌと戯れていた長谷川博己さんが、「シキシマ」という謎のキャラになって「ムハハハ」と怪演していることにちょっと驚いた。 

ちなみに原作では「立体機動装置」というギミックを使って空を飛び、剣でうなじを切り落とすのが巨人を倒す唯一の手段として描かれているのだけど、映画では斧担いでる奴とか、弓を持ってる奴とか、「そもそも飛ぶ気ないでしょ?アンタ」みたいなキャラがちらほら出てくる。

中でも爆笑したのは怪力キャラが巨人を投げ飛ばすシーンで、もうそんなに強いんならエレンが巨人化せんでもええやないかと思ってみたり・・・・・・。

 

www.shingeki-seyo.com

 

 

■写実な実写に用は無いわけですよ

とまあ、原作との相違点は色々あって、オリジナルが大好きなファンたちはそこをバッシングしているみたいだ。
 
だがそもそも、原作を忠実に実写化することは(尺の意味からも)不可能だし、可能だったとしても、同じ内容を実写でなぞるだけなら作品として価値は無い。
 
少なくとも、原作に面白さで勝てる可能性は無くなるのだから。
 
だとしたら、実写化ならではの切り口で、原作とは違う魅力を出そうとするのは正しい姿勢だと思う。
まぁ、その結果、色んな作品実写化の度に映画ファンは少なくない落胆と失意と怒りにかられているのだけど、それも含めてチャレンジじゃないか?と思うようにしている。
 
立体機動を捨てて(?)斧や弓を持たせたのは、アクションが単調にならないようという配慮だろうし、主人公の戦う動機が「親の復讐」から「元カノの奪還」になったのも、限られた時間でのドラマを、主要キャスト(若手俳優)のみで完結させるための工夫かも知れない。
 
結果的に「どないやねん」と思うシーンもあったけど、そうした点も含めて、消費者もリスクを背負うのがエンタメなのではないだろうか(※ただし、金払ってるんだからと悪口は言わせてもらうんですけども)。
 
まぁ、失敗の無い娯楽が欲しければ、梶原一騎全集を買って一生エンドレスに読んでれば事足りるわけだし、多少はね・・・・・・。
 
 

■久々に正統派の怪獣映画を見たわけですよ

 で、結局のところ映画は面白かったの?という質問に対しては「面白かった!」と答えたい。

観に行く人は一回、原作は忘れた方がいいと思う。これは夏休み怪獣映画なのだから、原作との相違をあれこれ悩んで観ない方がいい。

壁の外から襲ってくる規格外の化け物と、蹂躙される人類。起死回生のための捨て身の作戦、馬鹿をやって死んでいく仲間たち。そして人類の側から立ち上る反撃の狼煙!

普通に観て、面白くないはずがないのだから。

映画を見るときには下手な予備知識を持たず、スクリーンから得る情報だけをシンプルに味わった方がいい。まさしく初心に返って映画を見る価値に気付いた一日だった。

 

ちなみに今回、4DXという座席が映像に合わせて振動するギミック付きのシネコンで観てきた。これは映画のシーンに併せて座席が揺れ、傾き、風や水飛沫が吹きつけてくるというものだ。

 

もしもご近所にこのギミックが配備された映画館があるのなら、ぜひ体験されることをオススメする。

巨人が壁を破壊するシーンでは盛大に座席が揺れ、そっと近づいてくるシーンでは頭上から唾液が滴り、ミカサが巨人に切りつけると血しぶきが顔にかかる。もうびっしょびしょになる。

想像以上に激しく揺れ、容赦なく水飛沫が噴射されるから、クライマックスの殺戮シーンではもう大騒ぎだ。もう何度途中で座席から飛び降りようかと思ったことか。

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■巨人の正体はウルトラマンだったのか・・・・・・

 で、前編を見終わったボクははたと気付いてしまった。
巨人化して暴れまわったエレンは、最終的に巨人のうなじから取り出された。ピエール瀧は「早く取り出さないと巨人と一体化してしまう」と警告した。
そうか、巨人とエレンとは要するにエヴァとエントリープラグ(シンジ君)なのだ。
となると、巨人の前にはエヴァがいて、その前にはウルトラマンがいた。日本の誇るクリエイターたちのイマジネーションが脈々と繋がっていることに感慨を抱いた。
 
そしてウルトラマンエヴァンゲリオン進撃の巨人と紡がれたこの流れを、3年前の“特撮展”で庵野監督と巨神兵を動かした樋口監督が受け止め、メガホンを取ったというのも何かの因縁で、さらに次には最新作のゴジラを撮るというのだから日本の特撮映画もエンタメもまだまだ終わっちゃいねえよ、馬鹿むしろまだ始まってねえよ、みたいなことを思った夏でした。

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