風とビスコッティ

第3回ゴールデンエレファント賞受賞「クイックドロウ」作者です。ある日ブログのタイトルを思いついたので、始めることにしました。できれば世の役に立つ内容を書き記していきたいと思っています。

ラスベガスとゾンビとトゥインキー

 

ゾンビと子猫とラーメンはいつだってキラーコンテンツだ。
 
ゾンビと言えば、米国のドラマ『ウォーキング•デッド』が大ヒットしている。内容は奇をてらわない古典的ストロングスタイルのゾンビ•サバイバルドラマなのだが、それでもウケているのはやっぱり皆、ゾンビが好きなのだろう。
 
罪の街にある“ゾンビ•ショップ”
この夏、ラスベガスに行った際、地元に住んでる兄弟が行きたいと言うので“ゾンビ・ショップ”を訪れた。

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Zombie Apocalypse Store
3420 Spring Mountain Road Las Vegas, Nevada 89102
Phone: 702-320-0703
 
ストリップ大通りからちょっと外れた場所にあって、ゾンビが仲良く座っているトラックが目印だ。窓はバリケードで塞がれ、入口は黒いカーテンで覆い隠されて中の様子をうかがうことはできない。ここはいったい何の店??という疑念が沸きあがるのを抑えられない。
※ちなみに、表に置いてあるこのクソでっかいトラック、売り物ですww
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店内に入ると、様々なタイプの保存食や工具、燃料、そして武器!(さすがに銃はないが、ナイフや手斧はホンモノだ)。
 

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そして、ゾンビに関する様々な書籍。トゥインキーのクックブックもある!

 

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それ以外にも、お金を入れると 暴れ始めるゾンビの人形とか、射的ゲームとか、花園神社の見世物小屋より数段落ちるチープなアトラクションが幾つかあったのだが、腹を抱えて笑っているうちに写真を撮るのを忘れてしまった。

まぁ写真は無くてもいいだろう。かなりどうでもいい見世物だから。

 

生き残り至上主義者たち
ゾンビショップを一通り見て、気づいたのだが、これはゾンビの店ではない。どちらかと言えば、終末が訪れた際に生き延びるためのサバイバル・グッズの店だ。
 
そうやって考えると、各種ゾンビ物の映画、ドラマ、ゲーム、コミックスなどが人気であることについても、思うところがある。僕らはゾンビが好きなのではなく、いわゆるアポカリプスものに共通する“滅亡した世界で生き延びる”物語が好きなのだ。
そう、敵がゾンビだろうが、ウィルスに感染して凶暴化した人間だろうが、地球最後の男に虐殺される吸血人類だろうが、実はあまり関係ない。
限られた物資や頼りない道具を駆使し、知恵と勇気を振り絞って生き延びる。そんなスリリングなシチュエーションに惹かれる。さいとうたかをの劇画『サバイバル』は名作やった。バイオハザードシリーズは次回から弾薬の数を減らしていいと思う。
 
そんなことを書いていて、ふとナショナルジオグラフィックの番組で見た“プレッパーズ”という人々のことを思い出した。
 
これはアメリカ全土で世界滅亡の日に備えているサバイバルマニアたちについて紹介する番組だ。脱出用のヨットに物資を隠してるおっさんや、保存食を大量に備蓄する料理マニアのおばちゃんはまだ可愛い。家の周りに塹壕を張り巡らし、ギリースーツを着て接近する人を背後から襲ったり、軍が放棄した核ミサイルのサイロを買い取ったりする変人まで出てくる。
ここまで来ると、生き残るかどうかは二の次で、そもそも準備そのものが楽しいのだとしか思えない(というか彼ら自身、終末がどのように訪れるかについてはあまり興味が無いらしい)。
 
まぁそもそも、世界が終わろうとするその時に、自分だけ助かろうとする根性そのものが卑しいではないか。どれだけの銃があろうと、缶詰を積み上げようと、世界が取り戻せないのであれば日々を楽しむことはできないのだから。
 
えっ?もし世界の終末が来たなら、僕はどうするって?
 
もちろんありったけのトゥインキースを買い込み、山へ篭るだろう。
まだ『ウォーキング・デッド』を最後まで観終わってないし、死ぬわけにはいかないのだから。

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