アシモとタイのおじいちゃん
友人から聞いた話なので真偽のほどは定かではない。
以前、HONDAが自社開発したロボット「ASIMO」のお披露目イベントを世界各地で行っていた時のことだそうだ。
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タイのとある会場を借り切って、タイの皆様に日本が誇る最新鋭ロボットをお披露目するイベントが開かれることになった。
現地で一番大きなホールが貸し切られ、本番に向けて粛々と準備が進んでいく。
中でも一番の目玉はASIMOの登場シーンだ。
予定では、暗転したステージ上にスポットライトが当たった瞬間、ASIMOがあの特徴的な足取りでゆっくりと出てくるという段取り。
MC、照明、音響、それぞれがタイミングをピッタリ合わせないと台無しになる。
そこで舞台監督はタイミングをはかる練習のため、現地のスタッフの中から、ASIMOと背格好が似通ったタイ人のおじいちゃんを選んだ。おじいちゃんは何度もステージ上を行き来しながらASIMOの代役を務め、みんなの練習相手を務めた。
スタッフの多くは現地のタイ人であり、言葉が通じない壁はあったが、みんなが一丸となって舞台を作り上げていった。
そして、イベント当日。
居並ぶ観衆。タイのマスコミや市民たちが、日本の技術力の粋を集めたASIMOをひと目見ようと詰め掛けてくる。
これだけの大観衆を前にして、ヘマは許されない。
そして、いよいよ暗転、スポットライトが舞台を照らす!
そこに颯爽と現れたのは、あのタイ人のおじいちゃんだった!
おじいちゃんを始め、日本語がわからない現地のスタッフたちは、あの練習の意味がわからず、本番もおじいちゃんが登場するものだと思い込んでいたそうだ。
一世一代の大舞台を潰された舞台監督が 激昂して「このあHONDAらがっ!」と叫んだかどうかは、定かではない。
どっとわらい。