風とビスコッティ

第3回ゴールデンエレファント賞受賞「クイックドロウ」作者です。ある日ブログのタイトルを思いついたので、始めることにしました。できれば世の役に立つ内容を書き記していきたいと思っています。

ベーコンとチョコレートの不思議な出会い。……むしろ出会わないでいただきたい。

ラスベガス在住の兄夫婦とシーザースパレスの中を歩いていたら、ラグジュアリーなチョコレート・ブティックでベーコンフレーバーのチョコを見つけた。

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ここ数年、アメリカで様々なベーコンフレーバーの商品が流行りまくってるのは、様々な海外記事で皆さんもご存知かと。ラスベガスをウロついていたら、ベーコン風味の塩やベーコンフレーバーのアイスはまだしも、ベーコン石鹸とかベーコンiPhoneカバー、ベーコンパンツなど意味のわからないアイテムを大量に見かけた。

北米ではベーコンマニアという言葉があるらしく、もはや宗教の域に達しているようなので、こういうフレーバーのチョコがあるのもむべなるかなと思ったのだが、何と店員さん曰く、ベーコンフレーバーがこの店で一番人気とのこと。
 
ベーコン風味にはまったく興味が無かったので「へぇーそうですかー(棒)」みたいなリアクションでやり過ごそうとしたのだが、店内にいた常連のおばちゃんが
「あんたたち、これ美味しいから食べてみて!」
と、何故か自分が買ったばかりのベーコンチョコレートをバリバリと開けて我々に試食するように迫った。
完全にありがた迷惑だったのだが、
「あたし糖尿だから、あんまりたくさん食べちゃいけないのよ。あんたたち、ちょっと食べて!」
と言われたので渋々ひと口いただいた(つか糖尿患者がチョコ屋にくるな、って話しだが)。 
 
何というか、濃厚な燻製臭、脂っこい動物性脂肪のコク、いい感じに焦げた苦味と、ベーコンの再現度が非常に高い。まさしくチョコとベーコンを同時に口に入れた感じ。
 だが、誰がベーコンとチョコレートを同時に口にいれたいというのだ?
そもそも甘味の女帝チョコと、脂物の王ベーコン。両雄は並び立たない。(※映画『エクスペンダブルズ』シリーズでスタローンとシュワちゃん共存するまでに20年以上の歳月を費やしたことを考えてみれば分かる)
 
ベーコンはベーコン、チョコはチョコで食わせてくれ。痛切にそう思った一品だった。
 
そういう意味では言えば他のグッズもそうだな、石鹸は、石鹸、ベーコンはベーコン、パンツはパンツ、ベーコンはベーコン…………。

 

なるほど、とザ•ワールド


今回は仕事術の話をする。いずれかの形でプレゼンテーションをする機会がある人は必読だ。TEDに出る人たちにも読んでほしいので、近々英訳して再掲しようと思っている(嘘)。

 

人はなぜすれ違うのか。任天堂DSも持っていないのに。

商売柄、付き合いのないクライアントからいきなり呼ばれ、コンペ形式で企画のプレゼンを求められることがある。

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そういう新規顧客の場合、担当者の性格も、会社の特質も良く分からない中で進めていくので、ちょっとしたすれ違いは仕方ないと思っている。

だが時として、ありえない情報伝達のミスが起きて、プレゼンの場で冷や汗をかくことが少なくない。


例えば息を切らせてプレゼンで喋り切った後に、こんな言葉をかけられるケース。

客A「御社に期待していた提案の範疇とズレている気がするのですが…」
=>ヒアリングしてきた担当が、主観を膨らませ過ぎて社内共有し、客の視点とズレていた。

 

客B「弊社は○○年の失敗以降、企業コミュニケーションに動物は使わない方針なのですが、なぜ今回は子犬を使った提案なのでしょうか?」
=>そんな昔のことは誰も知らなかったし、オリエン時点での説明も無かった。

 

客C「…できれば年内に立ち上げたいのですが、なぜこの提案ではロンチが来年末なのでしょう?」
=>オリエン資料の誤植を信じてスケジューリングしてた。夏休みがたっぷりあった。

 

上記はもちろん創作であり事実ではないが、だいたいそんな感じのすれ違いである。
後から考えれば何でそんなことになるの?みたいな凡ミスだと思うが、テンパったスケジュールでプランをまとめていると、結構な人数のメンバーが参加しているのに誰も指摘しないことがままある。

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まぁ、ちゃんと確認してない側も悪いが、コンペになるとクライアントに
色々と聞きにくくなるという傾向もあると思う。
本来は“より良い提案のための競争”のはずなのだが、なぜか“取引するかどうか御社を試験する”みたいな雰囲気になる。

就職の面接と同じで“変な質問をすると点を下げられる”みたいなノリがあることは否めない。

 

時は、動き出す。

で、問題はプレゼンの本番でそんな事態に遭遇し、ザ・ワールドに時を止められたがごとく場の空気が凍った場合にどうするか、だ。

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自分のヒアリングミスなら潔く謝った方がいいが、面倒くさいのはクライアントの勘違いも含んでいたりする場合だ(前述のBとかCとか)。

本音を言えば「聞いてないよ~」なのだが、関係値の浅いお客さんにそうも言えない。

 

だが黙って硬直していると、先方の担当者やその上長、こちらの同行メンバーにも不穏な空気が伝播し、どんどん空気は悪くなってくる。

カイジで言うところの“ざわ……ざわ……”である。

 

で、そんな状況を打開する言葉。僕がよく使うのが

「なるほど」

である。


この言葉は
「私は初めてその情報を聞きました」
という意味を含んでいる。

これは先ほどの「聞いてないよ~」とか「マジすか!?」と基本的には同じ性質の言葉で、こちらの責任を相手に押し付けて回避しようとする働きがある。

ただし1点違うのは「聞いてないよ~」だと、相手をただ突き放して非難することになるが、「なるほど」であれば、こちらは聞いていなかったというエクスキューズを折込みつつ、「知らなかったけど、いま承知したかんね」という印象を与えられる。

これをある程度落ち着いたトーンで、もっともらしい表情とともに繰り出すと、さらに一歩進んで「知らなかったけど、いま承知した。後、何とかしなきゃね」という、一緒に前向きに取り組む空気まで生むことができる。

 

つまり、
「あ、そうなんですね。こっちは知らなかったけど犬を使うのNGだったんすね。いやまいったなー知らなかったけど。まぁそれなら犬使っちゃだめですよねー、どうしましょうか○○さん(同行してるクリエイティブ)。まぁ、結局のところ犬使わないプラン出せますけどね僕ら」

みたいなニュアンスである。

 

そこから「まぁ、このプランは犬を使わなくても~」と話をつなぎ、企画の骨子、プランのアクティビティ概要についてはブレていないことを納得させ、子犬の画像を何か知らんけどものすごくイケててコンセプトを遵守した何かの写真に差し替えれば弊社のプランはまったく問題ないということを滔々と述べて、機会をいただけるのであれば三日以内にその箇所を差し替えたドキュメントを提出させていただく、という話を、白目をむいて泡噴いてるADをシカトしながらその場でブチ込んで相手を納得させる………ことができれていれば、僕は今頃TEDに出ているだろう。

 

まぁ、実際はそんなにうまくいくことは無いけど、食い下がるチャンスくらいは得られるんじゃないだろうか。少なくとも、こちらがケツを持つ意思はある、信じてくれというメッセージを相手に届けることはできるかも。

初めての取引の場合、選定している側だって不安なのだから、お互いが手を取りあって前に踏み出すには、どちらかの側にちょっとした勇気が必要だろう。 

 

ということで、まとめ。

例えプレゼンでなくても、自分が聞いてない何かをぶつけられて窮地に陥った時、いきり立って「聞いてないよ~」と嘆くのではなく、麒麟の川島くらいの低い声で「なるほど」と返すのはどうだろう。ささくれだった場の空気をヴァニラ・アイスのスタンドのように吸収し、自分の株を上げることができるかも知れない。

 

 タイトルを思いついて、出オチのように書き出した記事だったが、書き終わってみると意外と内容があったな、と、自画自賛。

アメリカでキャンピングカーをレンタル(2) ~実際にキャンプする編~

本記事ではアメリカでキャンピングカーを借りてキャンプをするまでについて、何回かにわけてディアゴスティーニのように詳しく解説するものである。

 

まず初めにキャンピングカーを借りるまでのくだりは、

アメリカでキャンピングカーをレンタル(1) ~借りるまで編~ - 風とビスコッティ

を参照のこと。

 

アメリカのどこでキャンプをするのか?

さて、自分で書き始めておいて何だが、わざわざアメリカに旅行してまでキャンプをすることに価値はあるのだろうか?キャンプなんて日本でもできる。せっかく旅行で訪れているのだから、有名な観光地で写真を撮り、評判のいいレストランで美味しい料理を食べるべきじゃないか?

 

その通りだ。

 

キャンプの体験そのものは、日本でもアメリカでも大きくは変わらない。だから付け加えておくと、アメリカの“国立公園”でキャンプすることをお勧めする。

国立公園とは、アメリカが国として保護を決めた公園のことだ。一口に公園と言うが、そのスケールは相当に大きい。石神井公園とかと比べちゃいけない。例えば有名なグランドキャニオンも国立公園の一つで、面積は東京都ふたつ分だと言う。

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国立公園は広すぎて、一日で全部を回るのは厳しい。近隣の街からアクセスするのにも半日は掛かる。だからこそ公園内のキャンプ場に泊まるのだ。大自然の中で一夜を過ごし、日没に染まる山並みを眺め、夜明けに目覚める渓谷を見ることができる。

もしも 気に入ったならば、そのまま山に分け入って国立公園に住んでしまってもいい。ネッシーの不在がほぼ確定したり、ビッグフットがホッキョクグマの近種と認定されたり、UMA界はスター不在の状態が続いている。国立公園に住みつき、朝焼けの中でゴミ捨て場を漁る姿を目撃されれば、新しいUMA界の新星としてカラパイアあたりに掲載されるかも知れない。

 

キャンプ場

 80年代頃に子供だったせいで、キャンプに良い印象を持てないと言う人は多いだろう。学校や自治体の行事でキャンプに参加させられると、やたら難易度の高い飯盒炊飯を強制され、おコゲだらけのご飯で粉っぽいカレーを食べることになる。

夜はゴムの匂いのキツいテントの中で、石だらけの地面に悩まされながら寝返りを打つ。

トイレはまさに悪夢だ。場所によっては汲み取り式で、昼夜を問わず薄暗く、火星からやってきたような奇怪な虫がウロウロしている。

 

だが、アメリカでキャンプをするならその先入観は捨てて欲しい。アメリカはキャンプ先進国だ。キャンプ場は設備が整っており、清潔で快適だ。キャンプサイトは整然と区画され、テーブルと椅子、火を起こすグリルなどが付いている。

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大抵のキャンプ場には水洗トイレ、シャワー、コインランドリーがある。

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売店があるので食料品、雑貨、衣料、ちょっとした医薬品まで手に入る。

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 大きな国立公園ならレストランもあるので、洒落乙なディナーを食べることだってできる。キャンプだからといって、必ずしも自炊をする必要は無いのだ。

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どうだろう。アメリカの快適なキャンプ場で、キャンプしてみたいと思っただろうか?

もしもその気になったのなら、続いては実際にキャンピングカーでキャンプに挑戦するくだりについて、読んで欲しい。

まだ書いてないけど。

ラスベガスダウンタウンのエンターテイナーたちと、ピザロック

今現在、ラスベガスの観光の最先端と言えばストリップ大通りだ。莫大な資金を投じ、自由の女神にピラミッド、エッフェル塔からベネチアまで、世界中の見所を人工的に再現し、ありとあらゆるエンターテインメントを誘致しているユートピア。この世界最大規模の東武ワールドスクエアみたいな人工都市で、世界中から訪れた観光客はギャンブルやショッピング、ショーやライブを楽しむ。


だが、かつてラスベガスの中心部はダウンタウンだった。今でもダウンタウンでは、夜になるとアーケードがギラギラと輝き、ストリップのスカした雰囲気が苦手な老人たちが詰め掛けている。


ダウンタウンの雰囲気は独特だ。ストリップのように洗練された雰囲気はなく、アーケードに立ち並ぶ店々は場末の温泉街のような土産物を売り、たむろする大道芸人たちのクオリティは大学の学園祭レベルだ。

ディ○ニーに見つかったら射殺されそうな気ぐるみたちや・・・…

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ネタがバレバレな手品師。
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頭上を越えていくジップライン。
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独特の活気、大音響で鳴り響くカントリーミュージック。もしもあなたがディズニーリゾートよりも花やしきの方が気持ちが安らぐというのなら、ラスベガスではダウンタウンを訪れるべきだ。


まぁ僕はストリップのほうが楽しいけどね。ダウンタウンは美味いピザを食うために訪れた。


Pizza Rock Las Vegas | (702) 385-0838 | 201 North Third Street, Downtown Las Vegas | Gourmet pizzas, hand-crafted artisan cocktails, over 30 craft beers, wine and more!


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アメリカはやっぱりピザが美味い。お近くにお立ち寄りの際は、ぜひ。

ラスベガスとゾンビとトゥインキー

 

ゾンビと子猫とラーメンはいつだってキラーコンテンツだ。
 
ゾンビと言えば、米国のドラマ『ウォーキング•デッド』が大ヒットしている。内容は奇をてらわない古典的ストロングスタイルのゾンビ•サバイバルドラマなのだが、それでもウケているのはやっぱり皆、ゾンビが好きなのだろう。
 
罪の街にある“ゾンビ•ショップ”
この夏、ラスベガスに行った際、地元に住んでる兄弟が行きたいと言うので“ゾンビ・ショップ”を訪れた。

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Zombie Apocalypse Store
3420 Spring Mountain Road Las Vegas, Nevada 89102
Phone: 702-320-0703
 
ストリップ大通りからちょっと外れた場所にあって、ゾンビが仲良く座っているトラックが目印だ。窓はバリケードで塞がれ、入口は黒いカーテンで覆い隠されて中の様子をうかがうことはできない。ここはいったい何の店??という疑念が沸きあがるのを抑えられない。
※ちなみに、表に置いてあるこのクソでっかいトラック、売り物ですww
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店内に入ると、様々なタイプの保存食や工具、燃料、そして武器!(さすがに銃はないが、ナイフや手斧はホンモノだ)。
 

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そして、ゾンビに関する様々な書籍。トゥインキーのクックブックもある!

 

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それ以外にも、お金を入れると 暴れ始めるゾンビの人形とか、射的ゲームとか、花園神社の見世物小屋より数段落ちるチープなアトラクションが幾つかあったのだが、腹を抱えて笑っているうちに写真を撮るのを忘れてしまった。

まぁ写真は無くてもいいだろう。かなりどうでもいい見世物だから。

 

生き残り至上主義者たち
ゾンビショップを一通り見て、気づいたのだが、これはゾンビの店ではない。どちらかと言えば、終末が訪れた際に生き延びるためのサバイバル・グッズの店だ。
 
そうやって考えると、各種ゾンビ物の映画、ドラマ、ゲーム、コミックスなどが人気であることについても、思うところがある。僕らはゾンビが好きなのではなく、いわゆるアポカリプスものに共通する“滅亡した世界で生き延びる”物語が好きなのだ。
そう、敵がゾンビだろうが、ウィルスに感染して凶暴化した人間だろうが、地球最後の男に虐殺される吸血人類だろうが、実はあまり関係ない。
限られた物資や頼りない道具を駆使し、知恵と勇気を振り絞って生き延びる。そんなスリリングなシチュエーションに惹かれる。さいとうたかをの劇画『サバイバル』は名作やった。バイオハザードシリーズは次回から弾薬の数を減らしていいと思う。
 
そんなことを書いていて、ふとナショナルジオグラフィックの番組で見た“プレッパーズ”という人々のことを思い出した。
 
これはアメリカ全土で世界滅亡の日に備えているサバイバルマニアたちについて紹介する番組だ。脱出用のヨットに物資を隠してるおっさんや、保存食を大量に備蓄する料理マニアのおばちゃんはまだ可愛い。家の周りに塹壕を張り巡らし、ギリースーツを着て接近する人を背後から襲ったり、軍が放棄した核ミサイルのサイロを買い取ったりする変人まで出てくる。
ここまで来ると、生き残るかどうかは二の次で、そもそも準備そのものが楽しいのだとしか思えない(というか彼ら自身、終末がどのように訪れるかについてはあまり興味が無いらしい)。
 
まぁそもそも、世界が終わろうとするその時に、自分だけ助かろうとする根性そのものが卑しいではないか。どれだけの銃があろうと、缶詰を積み上げようと、世界が取り戻せないのであれば日々を楽しむことはできないのだから。
 
えっ?もし世界の終末が来たなら、僕はどうするって?
 
もちろんありったけのトゥインキースを買い込み、山へ篭るだろう。
まだ『ウォーキング・デッド』を最後まで観終わってないし、死ぬわけにはいかないのだから。

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CGアニメとジブリと、ファイアープロレスリング

この間から、NHKの『山賊の娘ローニャ』というアニメを観てる。


NHKアニメワールド 山賊の娘ローニャ

 

国営放送の子供向けアニメで“山賊の娘”という物騒なタイトルと、宮崎吾朗宮崎駿の息子)が監督をするというのが気になって視聴した。

山賊と言えばやはり犯罪者なわけで、その娘がどのように成長していくのか。どっかでローニャが官憲に捕まって、仲間が

「あの娘を解き放て!あの娘は山賊だぞ!」

みたいに叫ぶシーンがあるのか、無いのか気になって観ている。

 

だが実際にはスウェーデンの作家アストリッド・リンドグレーンによって書かれた児童文学が原作だという。劇中には“鳥女”という名称のモンスター(ハーピィみたいなやつ)が出てきたりして、基本的にはファンタジーなんだと思う。

 

●ぬるぬる動けど、何か作り物臭いCGアニメーション

で、物語はまだ始まったばかりなのでさておいて、やたらと気になったのがアニメーションだ。ぱっと見はセルアニメ風なのだが、人物の動き(特に表情)がぎこちない。たぶん3Dモデリングセルアニメ風なテクスチャを貼って動かしてるんだろう。

アニメの作画については詳しくないが、最近の流行なのだろうか。前に中国の戦国時代を舞台にした『キングダム』というアニメを見た時にも、同じようなアニメーションを見た。

 

技術的には先進的な取り組みなんだと思う。アニメーターの方々が一枚、一枚魂を削りながらセルに手描きして作っていたアニメが、CGでぬるぬる動くのだからきっと作業効率もいいはずだ。

だけど、どこか違和感を感じる。絵はかなり滑らかに動いているのだけど、どこか“イキイキと”していない。特に顔の表情なんかはハッキリと作り物くさい。ディズニーランドの“カリブの海賊”の人形たちがぬるぬると動いて芝居をするけど、まさにあんな感じ。

 

なぜだろう。原理的には、パラパラ漫画の要領で描かれている従来のセルアニメよりも、はるかに描写されている情報量は多いはずだ。しかし実際にはキャラクターの動作を端折って描かれている従来のセルアニメの方がイキイキと感じられることが多い。テクノロジー的には劣る宮崎駿の昔のアニメの方が、はるかに躍動感を感じる。

 

●脳内で補完するセルアニメ

結論から言うと、従来のセルアニメは写実的なリアリティではCGに劣るが、表現に緩急をつけ、デフォルメさせることで観客に“脳内補完”させてるんだと思う。

天空の城ラピュタ”でパズーは目玉焼き乗せトーストをたったのふた口で平らげるが、実際にやったら火傷する。だがあれを大口を開けて二口で食べ尽くすことで、観客はパズーの空腹を、トーストに乗せた目玉焼きの香ばしさを想像するのだろう。

対するCGアニメは情報として動きや光線、影の動きなどをリアルに表現しようとするが、本当の表現には及ばない。その結果、リアルなんだけど中途半端な作り物臭が鼻につくのではないだろうか。 

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●プロレス者の“妄想力”が紡ぐ無限のファンタジー

そんなことをつらつらと考えてて、突然、往年のテレビゲーム『ファイアープロレスリング』シリーズを思い出した。

実在のプロレスラーをモデルにしたキャラクターがたくさん出てくるシリーズで、権利関係の問題か、本人を意識したリングネームだが実名ではない(長州力がハリケーン力丸、馳浩が伊達弘、みたいな感じ)。

そしてこのゲームの目玉が、自分の好きなオリジナルレスラーを作れるエディットモードだ。顔や体のパーツと使う技の組み合わせで、ゲームの中に出てこないお気に入りのレスラーを再現するのだ。

だが(昔のゲームなので)グラフィックはドットで描かれたチープなものだし、カクカクとした動きで繰り出される技のバリエーションにも限界はある。シリーズを追うごとに技の種類も増えるのだが、現実のプロレスでも新技が粗製乱造されていて、追いつかない。何せ筋金入りのプロレスマニアにかかれば、ジャーマンスープレックスの“クラッチの指の角度が違う”から別バージョンの技、みたいな謎理論がまかり通る世界だ。バリエーションなんか無限にあるわけだ。

 

そんな中、プロレスマニアたちはお気に入りのレスラーの必殺技に似通った技を組み合わせ、エディットを繰り返す。画面に映るレスラーの姿かたちも技の動きも明らかにホンモノとは違うのだが、作った本人の脳内では妄想力によってイメージが補完され、ファンタジーが完成している。

学生時代、周りにプロレスマニアが多かった僕は、そんな妄想力の塊みたいなゲームで、妄想のトーナメントを戦ったものだ。

自販機で買った物を拾い上げる時など、今でも腰を落とす瞬間に技ボタンを押してしまうのは、そんな学生時代の名残なのかも知れない。

アメリカでキャンピングカーをレンタル(1) ~借りるまで編~

何年か前、アメリカでキャンプがしたいと思い立ち、レンタカーにテントを積んで国立公園を巡ったことがある。
季節はすでに秋。ネバダの渓谷はソフトキャンプするには寒過ぎる季節だった。テントの中で毛布にくるまって凍えていると、隣のサイトに停めたキャンピングカーの中で、ぬくぬくとワインなどを飲んでいるキャンパーの姿を見かけたものだ。
あの時ほど、豊かなアメリカ、強いアメリカを思い知らされたことはない。さすがだぜ。そら戦争にも負けるわ。

 

そしてこの夏、アメリカでキャンピングカーに乗り、キャンプ場を巡る機会を得た。実際にやってみて、色々と発見したことがあるので、その時のことを書き記す。
今後、初めての彼女をデートに誘ってキャンピングカーでシエラネバダ山脈を見に行く、ウブな男子のために。

 

このコンテンツは、アメリカでキャンピングカーをレンタルしてキャンプする際に僕が気づいたことを紹介していくのである。

 

・キャンピングカーって?

その名の通り、ベッドとシャワーとトイレが付いてて、そのままキャンプできるデカイ車のこと。

車体と居住部が一体のものと、別々になっているものなどたくさんの種類がある。
アメリカでは一般的にRVと呼ばれている。RVを専門にレンタルする会社があり、夏休みはRVを借りてヒャッハーするのがアメリカのパパたちの嗜みのようである。

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・どこで借りる?

今回は業界大手のエルモンテ(El Monte)で借りた。日本の代理店もあるようだったが、調べたところ、割高に感じたので英語サイトから直接予約した。
(※僕は4泊5日で900ドルくらいだったが、日本向けのサイトには1泊2日300ドル?とあった)
英語力に不安がなければそれで問題ないと思う。ただし、初めてRVを借りる際に不明なことを、誰かに日本語で質問できないというのは不安だろう(※事前にネットで調べてもよく分からないこともある)


エルモンテ以外にもJTBがツアーを売っているし、日本からRVツアーを斡旋する専門の代理店もある(アメリカ、キャンピングカーでググると出てくる)ので、不安ならば一度そちらに問い合わせてみるのもいいかも知れない。
因みに英語のサイトに関してこのブログに問い合わせるのはやめてほしい。僕の英語力は中学生レベルだ。木曜日は木刀をサースデイ、のレベルだ。分からない言葉はインターネッツを駆使して調べて欲しい。

エルモンテWEBサイト(英語)
http://www.elmonterv.com/
エルモンテWEBサイト(日本語)
http://elmonterv-japan.com/

 

 

・どれを借りる?

RVを選ぶときは、以下の3つの条件を組み合わせて決めた。

1.車種(トラック型か、バス型か、牽引型か)
 →トラック型が一般的だと思う。バス型は大きくて大人数向け、牽引型は居住部をキャンプ地に置いて乗用車だけで身軽に移動できる・・・・・・らしい。

2.大きさ(車のサイズ/ベッド数)

 →乗員数や、必要なベッド数で選んだ。

3.スライドアウトの有無
 →居住空間を広く使いたいかどうかで選んだ※後述

今回借りたのは『Cabover Style CS26 Slide-out RV』というトラック型。
二人旅だったのでもっと小さくても良かったが、せっかくの機会なのでゆったりできるよう、大きめでスライドアウトできるものを選んだ。


実際に借りる時は、ベッドの数に注意して選ぶといいと思う。例えば定員5名になっていても、ダブルベッドが二つ(各2名)、ソファベッド(1名)という割振りだったりするからだ。顔を見るのも嫌という仲の悪いメンバーがいる場合は、同じベッドで寝たくないだろうから注意が必要だろう。修学旅行の部屋割りを行う担当教諭の気分で考えて欲しい。
あるいは仲の悪い者同士でジャガイモの皮むきや洗い物などをさせるといい。共同作業は二人の距離を近づける。

エルモンテ レンタルできる車種のページ(英語)
http://www.elmonterv.com/rent/rvs-we-rent/

 

・現地での乗り出しまで

今回、RVを借りたのはElMonteのラスベガスにある支店だ。ストリップ大通りのある都市部から車で15分くらい離れた場所にあって、RVが何十台も並んでいる。


受付で予約していることを告げてからの流れはレンタカーと同じようなものだが、とにかく時間がかかる。スタッフが牛のようにのんびりしているというのもあるが、アメリカ人はだいたい牛のようにのんびりしている。問題はレンタカーと違って、注意事項や設備に関する説明が多いからと言えるだろう。
到着から、受付、書類の記入、車内設備の説明から乗り出しで二時間以上はかかったと思う。なので、出発初日に遠くまで行くような旅程は組まない方が無難かも知れない。

ちなみに必要なのは

・免許証(日本のと、国際免許証)

・パスポート

・クレジットカード

だ。


また基本的には午前中に借り出して、午後に返しにくるイメージのようだ。(返却は15時まで、それ以降は窓口が閉まると言われた)。まぁ要するにホテルのようなものなので、細かい時間単位での貸し借りには対応してくれないということだろう。なので、帰りの予定を組むときには注意が必要だ。


ちなみに乗り出す前に、実車に乗って水道、電気、ガスが通じているかのチェックを行う。スタッフが次々と(かなり適当に)設備チェックをしていく。

「発電機のモーター、動くよ~」

「冷蔵庫、動くよ~」

「トイレ、流れるよ~」

ただし、車体の外部にある黒い排泄口の説明をする際は、いきなり時限爆弾を解除する時の爆弾処理班のように強張った顔になる。ゴム手袋をはめて、そっと排泄口の丸い蓋を外す。
これは“ブラックタンク”と呼ばれる、車内のトイレのタンクの中身を排泄するための設備だ。ようするにウ○コを流すための管なので、汚いのである。やり方を間違えると地面にウ○コをぶちまけるハメになる。
その取り扱いについては、核ミサイルの発射装置について話すような入念さで説明するので気をつけて欲しい。そっちに気をとられ、他の設備のチェックが疎かになるからだ。
実際、僕の借りたRVは水道ポンプが壊れていて、旅の間中、水を使うことができなかった。ウ○コの捨て方はばっちり覚えたが、トイレを流すことはできなかった。

 

=>続きます。

 アメリカでキャンピングカーをレンタル(2) ~実際にキャンプする編~ - 風とビスコッティ